キク属の進化メカニズム

キク属の分類と進化

キクは日本の秋を象徴する花で、日本の切り花生産の約40%を占めることから、園芸的にも大変重要な植物です。
多くの栽培植物の起源が明らかになってきている現在でも、栽培ギクの起源は未だ議論が多く、これからの研究が待たれています。
44キク属は、雑種成と同質ゲノムの倍数化により、非常に複雑かつユニークな進化を遂げた植物群です。
私たちは栽培ギクの起源に焦点を当て、同質倍数体ゲノムがどのように分化してきたかについての進化機構を、DNA塩基配列レベルの情報を用いて研究しています。

キク属の分類

野生のキク属

代表的な野生ギクです。東アジアを中心に二倍体から十倍体まで同質倍数体による種分化が起こっています。

野生のキク属

栽培ギク

形態的に非常に多形性を示します。
この栽培ギクは中国で生じ、日本に伝わってきたとされていますが、その実体については未解明です。
有用作物で最後に残された課題です。

葉の老化

西日本におけるキク属の分布

分布が重なることがほとんどありませんが、分布の境界で雑種することがあります。黄花グループ、白花グループ、無舌状花グループがきちんと住み分けて分布していて、非常に興味深い研究対象です。

葉の老化

pNN806 反復DNA

ハマギクから得られた108bpを単位とする反復DNApNN806。
このDNAは非常に多型的で、これを利用することによってキク属の同質倍数性のゲノム分化について急速に解明されつつあります。

葉の老化