植物遺伝子保管実験施設の遺伝資源

キク属とその近縁属

多様なキク属とその近縁属

植物遺伝子保管実験施設には、世界レベルで誇れる遺伝資源コレクションがあります。

一つはキク属およびその近縁属の遺伝資源です。キク属は主に東アジアで分化した植物群ですが、本施設では日本固有種に加え、中国等の海外が原産である多くのキク属植物のコレクションを有しています。

キク属の高次倍数性進化にあります。日本固有種には二倍体から十倍体までの種があることから、この進化が日本列島で起きたことがわかります。

普段、花屋で目にするキクは栽培ギクです。野生ギクは栽培ギクと交雑しやすいため、純粋性が失われる(遺伝子浸透)という意味での絶滅も心配されています。したがって、本施設での野生ギク遺伝資源の収集・保存は絶滅危惧種のex situ conservation(生育域外保存)としても重要です。

栽培ギクは主要な農園芸作物の中で、その起源がわかっていない数少ないもののひとつです。その起源を明らかにすることも、私たちの研究目的のひとつです。また、栽培ギクは六倍体を基本としているため、遺伝学的な研究は簡単なことではありません。そこで、私たちは二倍体野生ギクをプラットフォームに、キク属内の多様性を生む遺伝子の解析を試みています。

ソテツ類

様々なソテツ類

もうひとつの重要なコレクションはソテツ類です。

ソテツ類は、すべての種がワシントン条約で取引が規制されていることからわかるように、ほとんどが絶滅危惧種となっています。

ソテツ類は、種子植物の中でも数少ない精子を持つ植物です。また、根にはシアノバクテリアが共生するなど、極端な貧栄養条件にも適応しています。このように、進化的かつ生理的に見て、大変興味深い性質を持っています。

突然変異体

生物の進化は突然変異の積み重ねでもあります。

近年では、生物の持つ様々な多様性の原因となる遺伝子が単離されてきていますが、その中には正常遺伝子が突然変異を起こしたものも多くあります。近年の分子遺伝学的研究の中で、突然変異体は遺伝子機能の解析に大変重要な役割を果たしています。

私たちは形態的あるいは生理的な変異形質をもつ様々な植物の突然変異体の収集とその解析も進めています。